公立中高一貫校 合格へのアプローチ ~ 本格的に受検勉強を始めるのに準備しておくべきこと

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公立中高一貫校 合格へのアプローチ ~ 本格的に受検勉強を始めるのに準備しておくべきこと



今回で今年度のコラムは最終回です。

今回は受検勉強を本格的に開始するまでに、親御さんが準備しておくべきことを中心に書こうと思います。



〇大学受験と中高一貫受検の勉強は全く別もの


このコラムを書いているのはちょうど私立大学の受験も終盤に差し掛かっている時期です。
もう間もなく国立大学の受験日、といったタイミングです。少し遡ると、1か月ちょっと前にはセンター試験がありました。

そして同じ日には高校2年生が「センター同日模試」を受けるのですが、もはや定番となっていますよね。

これは、高校2年生が実際のテストのレベルなどを体感し自分の現在地を確認することで、自分に必要なことを知り、そこからの1年の勉強の方向性を考えるためのものです。(大学入試改革で共通テストがどうなるのか……とはいえ、本番1年前に模試を受けるのは今後も継続されることでしょう。)


「敵を知り己を知れば百戦あやうからず」ということで、まずは解いてみよう! 
とお子さんに過去問を……ってちょっと待ってください! 


小学生と高校生は精神的にもかなり違います。


ある程度対応できる問題をやってみよう、
はよいのですが、時間を計って、まるまる解いてみようだなんてことはやめてください。


もちろん、ちょうど今の時期、適性検査が終わり、各学校や都道府県の教育委員会などのホームページにはその年の問題がアップされていきます。(著作権的に問題のない範囲ではありますが。)


しかしそれは、すぐに解いてみよう! というためのものではないのです。


あくまでも情報公開です。


もちろん、中には小学5年生で合格レベルまで解答できるお子さんもいるかもしれません。しかし、大半の子どもたちは小学校の全範囲を網羅して学習したわけではなく、長い文章を細かく読み取るトレーニングをしたことがあるわけでもありません。


そんな状態で演習などしようものなら、子どもたちは嫌になり、そもそも受検を諦めること間違いなしです。だって大人だって、したこともない高度な仕事をいきなり振られても困りますよね。


そこで私がお勧めするのは、親御さんがこの時期に問題を解いてみるというものです。
そして同時にお子さんの現在の状況を把握するのです。


もちろん、塾に通われているのであれば、そこでの先生のアドバイスを聞くことが最善かもしれません。
しかし、子どもが挑む後押しをする以上、どのようなものに挑むのかを知っておくことは大切なことだと思うのです。


ただ、このコラムでは毎度のことですが、適性検査に向けた勉強を始めたばかりであれば、すぐに「アドバイスをしよう」と思わないでください。


「中学入試は親子の受験」なんて言葉もあります。


「親子で二人三脚」や、「特に男子の場合は精神的に幼いから、親が手を引いてあげましょう」なんて話もあります。


でも、これってなかなか難しいのです。


そこで私が親御さんによくお話しするのは、
自分の視界に入るよう少し前を自分で歩かせましょう」ということです。


先に大きな危険があれば、本人が気づかないなら声掛けができますよね。


少しつまずいても、すぐにフォローもできますし、親が後ろから見てくれている安心感があれば、子どもは自分で歩こうとするでしょう。


実は「並んで歩く」や「手を引いてあげる」は、自分の視界に子どもがいないことが多いのです。


するとどうなるか。


親の目に入るのは合格というゴール。


そこばかり意識をしてしまい、視界から外れたお子さんが実は転んで膝をすりむいているのに、そのまま手を引っ張ってしまってズルズル……なんてことにもなりかねません。(実際にそのような状況、あります!)


私の経験では、公立中高一貫校の問題は、ある程度情報整理ができる「少し大人びた子ども」(精神年齢が高め)の方が有利であるように思えます。


本格的に受検対策の勉強が始まるまでに、どのようにお子さんの自立や精神的な成長を促していくのかが、本当に一番大切な準備なのではないでしょうか。



text by吉原 功/Kou Yoshihara
プロフィール:中学、高校入試の受験指導に長く携わり、これまでに数多くの受験生を志望校へと導いている。公立中高一貫校入試の指導経験も豊富である。現在は都内において、自身の教室での指導を行っている。