これが合格への近道 入試過去問題集利用法 ~ 私立高校編
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これが合格への近道 入試過去問題集利用法 ~ 私立高校編 |
今回のコラムは私立高校の入試過去問題集(過去問)の使い方についてです。
私立高校については、「第1志望の学校が私立高校(国立高校を含む)の場合」と「第1志望は公立高校(都道府県立・市立)で併願校として私立を受験する場合」の二つに分けて考えなくてはいけません。
まず、第1志望が私立高校の場合です。特に難関私立高校や国立大学附属、公立でも東京都の自校作成問題校のような難関公立高校の場合もこちらに含めます。これらの高校の場合、一般の公立高校入試に比べ非常に難しい問題が出題される学校も少なくありません。ですから、どのレベルまでの勉強が必要なのか、まずは到達するべきレベルを知ることが必要です。また学校ごとの特色や傾向も知る必要があります。
それらを頭に入れずに勉強するというのは、「ゴール」つまり行き先を知らないまま目的地に向かって出発するようなものです。
難関校を狙っている人なら、そろそろ中学範囲の勉強は一通り終えた頃だと思います。まずは今のうちに、自分の志望する学校の問題を知ることから始めてください。
「問題を解く」というよりは、むしろ「問題を見てみる」といった感じでしょうか。
どのような・どの程度の問題が出題されているのか、実際に解いてみるのではなく、目を通してみるのです。
学校が冬休みに入れば時間はたっぷりとれますので、そこで過去問題の演習を始めてください。
使い方としては、分野ごとに演習することをお勧めします。
各学校で出題形式は毎年変わらないので、同じ分野(たいていは同じ問題番号で出題されています)
を平成29年度、28年度、27年度……と通して演習するのです。
演習とは書きましたが、その分野の出題を通して解くことで、形式や傾向の分析をするのです。
人によっては得意分野や不得意分野もあるでしょうから、ひと通り過去問題の演習が終われば、
さらなる得点源や補強するべき課題が見えてくるはずです。
そのための学習には、対象とする学校のレベルと合う問題が掲載されている問題集を使いましょう。
東京学参発行の問題集であれば、偏差値別の「実力判定テスト10(改訂版)」が対応しやすいし、「高校入試特訓シリーズ」なら解説もしっかりしているので使いやすいと思います。
もちろん、塾などでアドバイスをされている場合は、その指示に従って使っていただければ構いません。
次に、一般の公立高校を目指しながら併願校として私立受験をされる方の場合、第一志望の公立高校の過去問集(都道府県別)への着手はまだもう少しの我慢です。(公立高校志望の方の過去問集の使い方は次回テーマにしますね。)皆さんの通っている学校では全範囲が終っているわけではないと思います。特に社会と理科の授業は、恐らく受験直前になってもまだ全範囲を終えていないと思います。(または最後の方は駆け足で授業が大まかな内容になりがちです……社会科の現代史と公民、時事問題は特に!!!)
つまり、この時期は理科・社会のインストールに時間をしっかり使いつつ、国数英の学習がひと通り終えてあるなら、併願校の問題を分析しながら演習してください。
数学であれば、最初の計算・一行問題を計時しながらウォーミングアップ代わりに演習する。
分野別の大問については、年度に関係なく同じ分野の問題をまとめて解くのが良いと思います。
英語と国語に関しては、長文問題や読解問題について1日に各1題を解いていくのがよいでしょう。
そうすることで学校の出題の傾向がわかります。併願校を併願推薦(都道府県によって呼び方は違うと思いますが)として受験することが決まっている場合は別として、現在どこを受験しようかと悩んでいる場合は、その学校の問題が自分に合っているかを判断の材料にすることも重要だと思います。
もちろん教科の学力自体が底上げされ、どんな問題にも対応できる「地の力」が養われることが理想ではあります。
しかし、「敵を知り己を知れば百戦危うからず(彼を知り己を知れば百戦殆からず)」(『孫子』)という言葉のように、しっかり入試問題を分析して傾向や特徴を知ることが、受験を戦略的に進めるための必須条件です。その要として過去問集を役立てるようにしてください。
text by吉原 功/Kou Yoshihara
プロフィール:中学、高校入試の受験指導に長く携わり、これまでに数多くの受験生を志望校へと導いている。公立中高一貫校入試の指導経験も豊富である。現在は都内において、自身の教室での指導を行っている。