これが合格への近道 入試過去問題集利用法 ~ 国立・私立中学編

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これが合格への近道 入試過去問題集利用法 ~ 国立・私立中学編

11月もそろそろ半ば、国立中学や私立中学への入学を目指しているみなさんの場合、難関校であればそれぞれが通っている塾で学校別の講座などが始まっていることでしょう。

今回のコラムでは、主に学校別の講座に通わない、またはそのような講座がない方に向けて(もちろん、講座に通われるみなさんにも役に立つとは思います)「過去問題集の使い方」のアドバイスを書いてみました。

みなさんは過去問題集をどのように使うべきだと考えていますか?
職業柄、長年いろんな生徒や保護者に聞いてみると、「時間を計って問題を解く→採点をする→その年度の合格最低点や平均点と比べる」という方法で使っていることが多いようです。確かに自分の今の力を知るという点では意味があります。しかし、それだけではちょっともったいないかな……と思います。というのも、過去に出たものと同じ問題は出題されないからです。

私が考える過去問題集の使用法は、「その学校の出題を分析するために使う」ということです。特に私立中学の場合は、出題傾向や設問数は毎年大きくは変えません。(変わる場合はナイショで変更なんてことはしません。説明会などできちんと告知してくれるはずです。)ということは、各学校の傾向や特徴をしっかりと知り、自分に合った作戦を立てることが合格への近道だといえますよね。

では実際に「過去問題集」をどのように使えばよいのでしょうか?
私が指導する生徒たちには、出題一覧表を自分で作らせています。各年度や実施回ごとに、大問の設問や分野をまとめるのです。例えば算数なら以下の要領です。

〇年度第◇回 〇年度第△回 ・・・
1 計算×5問・一行×8問 ・・・ ・・・
2 割合(売買損益)3問 ・・・ ・・・
3 速さとグラフ(旅人)3問 ・・・ ・・・
4 平面図形(相似)3問 ・・・ ・・・
5 立体図形(水量)3問 ・・・ ・・・

表にまとめた上で、年度を通して演習をするのではなく、「計算・一行」なら「計算・一行」だけ掲載されている年度のすべてを1日にまとめて行います。年度を通して使うのではなく、「輪切りにして使う」という感じでしょうか。

このとき、その年度の大問1つにどれくらいの時間がかかったのかも毎回計ってください。こうすることで、その学校の問題のレベルや傾向を「体感」できますし、その大問にどの程度の時間をかけられるのかの目途も立てられます。また、同じ学校でも年度や実施回によって応用問題の分野の順番が入れ替わることがありますから、大問の番号ではなく、分野に分けて行うことが重要です。もちろん算数だけでなく、理科や社会、国語も同様です。「人体の問題まとめて演習分析」、「歴史分野まとめて演習&分析」という具合です。とはいえ、国語については漢字や語句、文法なら可能ですが、長文になると1日1分野はちょっと無理ですね……。何日かに分けて行いましょう。

1日にたくさんの分野を欲張って分析だけに終始せず、基礎となるルーティン的な勉強を怠らないことも重要です。
もちろん、「過去問題集」には「傾向と対策」や「問題分析表」などのページが付いています。せっかくのこのページを使わない手はありません。それも参考にしながら、自分のための分析をし、自分にとって最善の作戦を立ててください。

text by吉原 功/Kou Yoshihara
プロフィール:中学、高校入試の受験指導に長く携わり、これまでに数多くの受験生を志望校へと導いている。公立中高一貫校入試の指導経験も豊富である。現在は都内において、自身の教室での指導を行っている。