ストレスコントロール~ストレスの原因を知り、対処法を身につけよう~

受験生の食卓~心とからだをめぐる栄養コラム~
ストレスコントロール~ストレスの原因を知り、対処法を身につけよう~


梅の花がほころびはじめて春の訪れを感じる季節となりましたが、同時に寒さもひときわ強くなり、受験日に雪の影響を大きく受けた方もいたかと思います。

そんなときは「どうしてこんな日にかぎって!」とぶつけどころのない怒りがわき、ストレスを感じるのではないでしょうか。

今回は、大なり小なり感じる日頃のストレスについて、食生活や身体活動からアプローチできる対処法をお伝えしていきます。


そもそもストレスってなに?

心身に様々な刺激を引き起こすもの(きっかけ)を「ストレッサー」、それによる身体やこころ、行動の反応を「ストレス反応」といいます。

ふだん私たちが何気なく口にしている「ストレス」はこの両方をさしていると考えてもいいでしょう。


ストレッサーとは

ストレス反応を引き起こす「ストレッサー」は外的ストレッサーと内的ストレッサーに分類されます。

さらに「外的ストレッサー」は物理的ストレッサーと社会的ストレッサーに、「内的ストレッサー」は心理的・情緒的ストレッサーと生理的・身体的ストレッサーに分類されます。




こうしてストレスの種類(ストレッサー)を可視化してみると、私たちがいかに様々な種類のストレスを感じているか、またどのストレッサーに対してストレス反応が強く出てくるのかがわかりやすいですね。


ストレス反応の強さはコントロールできる!

ストレッサーとストレス反応は直結しているわけではありません。

これらの間には「認知的評価(ストレッサーについて考える)」と「コーピング(対処)」というプロセスが入り、それによりストレス反応の強さを変えることができるのです。

これがストレスコントロールの秘訣となります。




認知的評価とコーピング

認知的評価とは、

①ストレッサーがどれだけ脅威的か?
②ストレッサーに自分はどれだけうまく対処できそうか?

を考えるプロセスをいいます。


例えば、1週間後に受験が迫っているとします(ストレッサー)。
それに対して、「あと1週間しかない」と考える(評価する)のか、「あと1週間もある」と考えるかでストレス反応の強さは変化します。


ストレッサーが自分にとって問題となるとき、私たちは回避したり、向き合ったり、誰かに相談したりして様々なコーピング(対処)をおこないます。
そして、コーピングをおこなうことによってストレス反応を抑えることができます。


先ほどの例でいうと、「あと1週間もある」と考えることができたら、その1週間で何をすべきか整理して、計画的に勉強を進めていくこと(コーピング)ができそうですね。


ここで注意したいのが、コーピングは万能ではないため、以前うまくいった対処法が今回の問題に当てはめられるわけではないということ。
状況によってどう考えて行動する(対処する)かが異なるので、トライ&エラーでコーピングの引き出しを増やしておくことが大切です。

(参考:心理学ミュージアムhttps://psychmuseum.jp/show_room/stress/


ストレス反応

ストレスを感じているとき、身体には、疲労、緊張、免疫力低下などの反応が、こころには、イライラ、抑うつ、不安などの反応が生じます。

また、栄養学的な視点でいうと、ストレスを感じている際はビタミンCが大量に消費されることがわかっています
これらを踏まえて、第7回のコラム(食事とこころの関係)でもお伝えした内容にプラスして、おすすめのリフレッシュ方法をご紹介します。


ストレス対策におすすめの食事と栄養素

1.炭水化物(糖質)

脳のエネルギー源である糖質は、不足すると集中力が低下したり、イライラしたりする原因となります。
いくら糖質といえども「甘いお菓子やジュース」からでなく、ごはんやパン、麺類、いも類などの主食から摂取することが重要です。

2.たんぱく質

たんぱく質は、成長ホルモンや免疫、リラックスややる気アップの役割をもつ神経伝達物質の材料としてとても重要です。
肉、魚、卵、大豆製品などの主菜は毎食とりたいですね。

3.ビタミンB群

主菜や未精製食品(玄米や全粒粉など)に多く含まれるビタミンB群は、神経伝達物質の生成を促進したり、糖質をすばやくエネルギーに変換したりと、目立たないけれど重要な役割を持つ栄養素です。

4.ビタミンC

ビタミンCには疲労を軽減する役割があるため、ストレスにより消費した分を補給しないと疲れが取れにくくなり、体調不良の原因にも。
特に野菜(緑黄色野菜&淡色野菜)は毎食摂取したいですね。

5.食物繊維、発酵食品

腸内環境とこころはリンクしています(脳腸相関)。腸内環境を整えるために、食物繊維を含む野菜、きのこ類、海藻類を、腸内細菌を増やすためにヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品を日常的に食べるようにしましょう。


アクティブレスト

疲れたときやストレスを感じているときは、寝だめをしたり、お家でゆっくり(だらだら?)過ごしたりすることが多いのではないでしょうか。


実は、もっと短時間で回復できる、アスリートも実践している方法があるのです。
それは「アクティブレスト(積極的休養)」。


受験勉強で長時間同じ姿勢をキープしていると、肩や背中、腰の筋肉が緊張してこわばってしまいます。また、おしりや太ももの裏側も自分の体重が長時間かかることにより血流が悪くなり、むくみなどを引き起こしてしまいます。

これらを解消するために軽い運動をすることを「アクティブレスト」といいます。


おすすめの運動

1.ストレッチ、ラジオ体操

特に体の前側、太ももの裏側はかたくなりやすい部位なので、勉強の隙間時間に取り入れてみることから始めましょう。

2.さんぽ、ジョギング(20分程度)

ポイントは、少し息がはずむ程度のスピードでおこなうこと。ときおり道端の花や美しい空に目を向けて、心を和やかにさせるのもいいですね。

※さんぽ中に見つけたハートの切り株。なんだか元気が出ます。





いかがでしたか?


生きていれば絶えずストレスはかかりますが、「とらえ方」や「考え方」ひとつでコントロールすることが可能となります。
今からでもぜひ実践してみてくださいね。





次回のテーマは「自信を持って次のステージ(新学年)へ」です。
更新は 3/22(火)を予定しています。
どうぞお楽しみに!


受験生の食卓~心とからだをめぐる栄養コラム~バックナンバーリンク

☆自己管理と家族のサポート~親ができること、子供がして欲しいこと~

☆受験前日と当日の過ごし方~食事だけでなく、総合力で実力を発揮しよう!~

☆食事とこころの関係~こころにも栄養を~

☆記憶力向上のコツ~勉強×運動、ときどき食事~

☆本当に必要?ダイエットを正しく知ろう!

☆自分にあった体調管理法を身につけよう~アスリートに学ぶコンディショニング~

☆一日の始まりは朝ごはんにあり ~朝食で体内時計をリセット~

☆食中毒にご注意『暑い日のお弁当づくり』

☆どれぐらい食べたらいいの?『塾に持参するお弁当編』



text by後藤優子/Yuko Goto
プロフィール:スポーツ栄養士×アスレティックトレーナー。ジュニアからトップアスリートの食事サポート、調理イベント、子どもの食育セミナーなどを行う。東京を中心に活動中。アイドルとカレーが好き。



後藤優子さんのコラム⇒「食×スポーツ(人生を豊かに。マルゴトキカク。」