一日の始まりは朝ごはんにあり~朝食で体内時計をリセット~
受験生の食卓~心とからだをめぐる栄養コラム~ |
一日の始まりは朝ごはんにあり ~朝食で体内時計をリセット~ |
「時間」。誰にも等しく与えられたものであり、どう使ってもいいわけですが、できることなら上手に活用してちょっとでもプラスに還元されると嬉しいですよね。それが成績に関係するならなおさらです。
今回は時間栄養学に基づいて、一日の始まりの朝ごはんのポイントをお伝えいたします。
親の行動や習慣を見て育つ子どもたち
保護者の皆さんは朝ごはんを食べていますか?
数年前にテレビで「親が食べていなかったので、中学生になるまで朝食という概念すら知らなかった」と芸人さんが発言されているのを見て、「いやいや、修学旅行とかで気づくでしょ」というツッコミをしつつも、妙な納得感がありました。
それもそのはず!!
子どもは親の行動、習慣をじっくりと観察して、真似て、自分の習慣にしているからです。
そのため、子どもの食習慣を適切なものにしたい、改善したいというのであれば、保護者の皆さんがロールモデルとなることが一番の近道といえます。
朝ごはんを食べている子どもの割合
国立青少年教育振興機構「青少年の体験活動等に関する意識調査(2018年度)」によると、小学生のうちは大半の子どもが朝ごはんを毎日食べていますが、学年が上がるにつれて朝食を食べる頻度が少しずつ下がっていることがわかります。
朝食欠食と学力の関係
では次に、朝食欠食と学力の関係を見てみましょう。
国立教育政策研究所が毎年行なっている全国学力・学習状況調査(2018年度)によると、小学6年生と中学3年生のどちらも、朝食を食べている頻度が高いほうが学力調査の正答率が高くなっています。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
脳のエネルギー源
「勉強をする」「問題を考え解く」には脳に頑張ってもらわないといけません。
脳が活動する際のエネルギー源はブドウ糖。
ごはんやパン、麺類、シリアルなどに含まれている「炭水化物」を構成しているひとつです。
脳のエネルギー源となるブドウ糖は肝臓に蓄えられていますが、体内で常に利用されているため、時間とともに減っていくいっぽうです。
特に、就寝中は長時間体内に何も入れることができないので、起床後は空っぽ状態。そのため、ほとんどの人が朝起きた時には空腹を感じているのではないでしょうか?!
空腹は胃の中が空っぽなだけでなく、体内のブドウ糖が減少する(血糖値が下がると)ことでも感じる仕組みになっています。勉強やお仕事を集中して頑張っていると甘いものが欲しくなるのはそのためです。
朝ごはんは体内時計をリセットする
私たちの体の中には時間のリズムを刻むメカニズム「体内時計」が存在します。
この体内時計は1日24.5時間の周期で動いているため、放っておくとどんどんずれしまいます。
これを1日24時間にリセットするために必要なのが『朝の光』と『朝食』です。
特に、ごはんやパンなどの炭水化物(糖質)が時計遺伝子を動かすと言われています。
参考:早稲田ウィークリーhttps://www.waseda.jp/inst/weekly/feature/2017/11/13/37090
どんな朝ごはんがいい?
これまで食べる習慣がなかった方は、ヨーグルト(プレーンでなく、砂糖や果物が入ったもの)やバナナを食べることから始めてみましょう。
ここで気を付けてほしいのが低血糖。
空腹時に甘いものの一気食い、甘い飲み物の一気飲みは避けましょう。
菓子パンやジュースだけで済ませると、血糖値が急上昇したのちに急激に下降する低血糖を引き起こす可能性があります。低血糖を起こすと、短時間での空腹、頭痛、めまい、発汗、ふるえなどの症状が出ます。
もともと食べる習慣があった方は、主食、主菜、副菜をそろえてみましょう。
◎主食
「ごはん」「パン」「麺類」「シリアル」などで、脳だけでなく活動的に過ごすためのエネルギー源となります。
◎主菜
「肉(ウインナー、ハム含む)」「魚(魚肉ソーセージもOK)」「卵」「大豆(豆腐、納豆、豆乳)」などで、成長期の子どもには欠かせないたんぱく質が含まれています。不足すると貧血の原因にも。
◎副菜
「野菜」「きのこ」「海藻」「ナッツ類」「ごま」などで、体の調子を整えるビタミンやミネラルが含まれています。
真夏の強い日差しや、ストレスにより、体内のビタミンCが消費されるので野菜は毎食取り入れると良い食材です。
お気に入りの器などで気分を盛り上げるのもGoodです♪
次回のテーマは「体調管理」
更新は8/20(金)を予定しています。
夏休み明けの学校再開に向けてしっかり整えたいところ。どうぞお楽しみに!
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text by後藤優子/Yuko Goto
プロフィール:スポーツ栄養士×アスレティックトレーナー。ジュニアからトップアスリートの食事サポート、調理イベント、子どもの食育セミナーなどを行う。東京を中心に活動中。アイドルとカレーが好き。
後藤優子さんのコラム⇒「食×スポーツ(人生を豊かに。マルゴトキカク。」