受験期の親子の会話は注意より、愛ある問いかけで乗り切って
第5回:受験期の親子の会話は注意より、愛ある問いかけで乗り切って
年が明け、いよいよ受験シーズンも本番。
緊張感が否応なく高まるシーズンになってきました。
推薦入学や早めの受験などをすませた友人の合格情報が耳に入ってきて、
焦りを感じるお子さんも増えてくるころだとも思います。
親のほうも何かと落ち着かなくて、
「勉強、ちゃんとはかどってるの?」
「スマホばっかりいじっていないで、単語のひとつも覚えたら?」
などと、つい目の前の子どもの姿に、小言を発してしまいがち。
子どもを心配してのひと言ではあるのですが、
どうしても強い口調になってしまうことも。
子どものほうも”ちょっと休憩していただけ”なのに、
という言い分があるかもしれず、
それによって親子の会話の断絶につながることもあります。
大事な時期でもあるので、
できるだけピリピリムードにならないように気をつけたいですね。
受験のともコラム第3回でもお話をうかがった、中高一貫校の教務主任の先生は、
「最近の親子関係を見ていると、以前に比べて距離が近いと感じる」といいます。
特に女の子は母を頼りにする子が増えているのだとか。
昔の中高生は、ちょうど反抗期と言われ、
親に悩みなどを話したりすることはあまりありませんでしたが、
今は、友だち関係の相談、勉強での悩みなどの細かいことまで、
親に相談する子どもも多いのだそうです。
友だちに聞けないことを親に相談するのは、恥ずかしいことではない。
最近の親子関係は、そんな価値観に変化してきているように感じられるといいます。
そのため、
自分の時代は親に悩みなんか相談しなかったし、
聞いたところでどうせ話さないでしょうと
親のほうが最初からあきらめてしまうのはもったいないとのこと。
会話のきっかけに困ったら、
これやりなさい、あれ忘れてるんじゃない?といった注意ではなく
困っていることはない? 何かできることはある?という問いかけで、
子どものほうから話ができるようにして促してみるのはどうでしょう。
1回では無理でも、2回、3回と問いかけを繰り返すうちに、
子どものほうも、次に聞かれたらこの話をしてみよう、
といったこころの準備ができてくるかもしれません。
親の方もあきらめず、粘り強く声をかけることがコミュニケーションのスパイスになるはずです。
「ここまできたら、勉強について親が子どもにできることはほとんどありませんが、
“悩みがあればいつでも聞くよ”
“あなたが進む道を全面的にサポートするから安心してね”
という気持ちでいることを伝え続けることが、
辛い時期を一緒に乗り越えたという親子の絆にもつながっていくと思います」
プロフィール
文/野々瀬広美
編集・ライター。生活実用の出版社3社での会社員生活ののち、フリーランスに。暮らしまわり・ハンドメイドのジャンルを中心に取材・編集・執筆などを手がける。編み物とサッカー観戦が好き。図書館司書の資格を持つ。