令和5(2023)年度入試から愛知県公立高校の入試制度(全日制課程)が変わりました

愛知県の公立高校入試は、令和5(2023)年4月に入学する人が受検する入試から、新しい制度になりました。
一般選抜で2校に出願できるのはこれまで通りですが、学力検査は1回となります。実施時期も変更があり、これまでより実施時期が早くなりました。さらに、高校や学科の特色を生かした「特色選抜」が導入されるなど、今までの制度から大きく変わりました。

このページでは新しい入試制度をご説明します。対策について考える際の参考にしてください。

まずは変更点の概要をチェック!


ひとつずつ詳しくみていきましょう。

実施時期が早まる!

これまで3月上旬~中旬ごろ推薦選抜と一般選抜が同日に実施されていましたが、新しい入試制度では、推薦選抜が2月上旬、一般選抜が2月下旬に実施されます。
また、推薦入試では、これまで一般選抜の学力検査を受ける必要がありましたが、新しい入試制度では、学力検査を行わず、中学校から提出された推薦書と調査書、面接の結果等の資料により、総合的に判定して合格者を決定することになります。


※募集および選抜に関する最新の情報は愛知県教育委員会のホームページなどで必ずご確認ください。

高校や学科の特色を活かした「特色選抜」を導入!

高校や学科の特色を生かした新しい選抜「特色選抜」が導入されます。将来の進路目標やその高校・学科で学ぼうとする意欲、学科やコースに関連する分野での能力・実績などを重視する選抜です。入学検査は、面接は必須で行ない、加えて、「作文」「基礎学力検査」「プレゼンテーション」「実技検査」から各高校が指定した1つを行ないます。
推薦選抜と混同してしまいそうですが、推薦選抜は全ての高校・学科で実施される選抜であるのに対して、特色選抜は一部の高校・学科で実施されます。
 なお、推薦選抜、外国人生徒等選抜、全日制単位制選抜、連携型選抜との併願はできません。

※愛知県教育委員会発表の資料もあわせてご確認ください。
令和5年度特色選抜を実施する高等学校・学科及び入学検査の内容

一般選抜の学力検査の回数が2回から1回になる!

これまでAグループ・Bグループの高校それぞれで実施していた一般選抜の学力検査が1回になります。ただし、Aグループ・Bグループの高校から1校ずつ、計2校まで志願できるという点はこれまで通りです。学力検査は第1志望校で受検します。2校に志願した場合は、学力検査の成績を第1志望校と第2志望校の両方で用いて校内順位を決定します。また、全校で同一の採点基準とするため、解答用紙をマークシートにします。
校内順位の決定は、第1志望者、第2志望者ともに同じ条件で行いますので、志望順位による有利・不利はありません。

一般選抜で面接を実施するかどうかは高校ごとに決定!

これまで一般選抜において面接は必須でしたが、新しい入試制度では、実施の有無は高校ごとに決定します。
なお、面接は、入学願書を提出した高校で行います。第1志望校、第2志望校ともに面接を実施する場合には、それぞれの高校へ面接を受けに行くことになります。

校内順位の決定方式が5通りになる!

調査書、学力検査の成績、面接(実施する高校のみ)等の資料により、総合的に校内順位を決定します。その後、全ての高校の校内順位データをコンピュータで処理し、各高校の合格者を決定します。
校内順位の決定は、以下の2つの得点を使います。
・評定得点…調査書の評定合計(最高45)を2倍した数値で、最高は90点
・学力検査合計得点…国語、数学、社会、理科および外国語(英語)の各教科の得点の合計で、最高は110点(22点×5教科)

「校内順位の決定方式」は、これまでⅠ~Ⅲの3通りでしたが、ⅣとⅤの方式が新たに加わります。
各高校があらかじめ選択するⅠ~Ⅴの「校内順位の決定方式」によって得られた数値を基礎資料とします。

※愛知県教育委員会発表の資料もあわせてご確認ください。
令和5年度一般選抜の面接実施の有無及び校内順位の決定方式

マークシート形式について詳しく!

令和5(2023)年4月に入学する人が受検する入試から新しくなる愛知県の公立高校の入試制度。
この中でも特に注目されているのが「解答用紙がマークシート形式になる」ということです。
※追検査の解答用紙もマークシート形式になります。
※特色選抜、外国人生徒等選抜、全日制単位制選抜、第2次選抜、定時制課程では、従来と同様の解答用紙を使用します。
どのようなマークシートになるのか、受検の際の注意点を紹介していきます。

※愛知県教育委員会発表の資料もあわせてご確認ください。
マークシートによる学力検査の実施について

教育委員会発表の資料には、「言葉や文を書いて答える問題はありません。」と記載されています。
これまでの学力検査では、国語は要約文の記述問題、数学ではグラフ作成、社会では短文記述、理科ではグラフ作成や作図、英語では英作文などの記述式の問題が出題されていました。今回のマークシート形式への変更でこれらの記述式の問題は出題がなくなるということになります。
また、愛知県の公立高校入試では、「すべて選んで」「2つ選んで」など複数選択式の問題が出題されます。このような場合、行を分けてマークを塗りつぶす形式もありますが、愛知県の公立高校入試の場合は、1行の中で複数のマーク欄を塗りつぶす形式のようです。これは1つの特徴です。誤って行を分けて塗りつぶしてしまい行が1行ずれたまま解き進めてしまうことがないように特徴をしっかり理解したうえで、問題文をよく読んで解き進めましょう。

さて、教科ごとの変化をもう少し詳しくみていきましょう。

国語

国語は、要約文の記述問題の出題がなくなるということが1番の変化でしょう。内容を考えて記述する時間がなくなるかわりに、文章を読ませる時間を増やすために文章自体が長くなる可能性もあれば、より深く読解しないと解けない問題が出題される可能性もあります。

数学

数学は、グラフ作成の出題がなくなるという変化もありますが、「数値を答える形式の問題」が目をひくかもしれません。これまで通りしっかりと理解して解かないと答えられないようになっています。特に分数を答える場合は注意が必要です。分数を声に出して読む時は「2分の1」というように、分母から読みます。しかし、マークシートでは分子、分母の順になっています。しっかり頭の中で整理しながらケアレスミスを防ぎましょう。
それでも大問1・2は符号選択式になるからなんとなく解き方がわかればそれらしい選択肢を選んで答えられる? そういうわけにはいかないようです。神奈川県などマークシート形式で出題している他県を参考にして推察してみましょう。符号選択式問題の誤答の選択肢は、ありがちなミスを想定して作られています。符号選択式の問題でもやはりこれまで通りにしっかりと理解して解かないと答えられないようになるでしょう。

社会・理科

社会と理科は、これまでも符号を選択して答える問題が多く出題されていました。社会では短文記述、理科ではグラフ作成や作図の出題がなくなるという変化はありますが、複数の資料を読み解いて答える問題は引き続き出題されることが予想されます。

英語

英語は、英作文などの記述式問題の出題がなくなり、国語と同様に文章を読ませる時間を増やすために文章自体が長くなる可能性もあれば、より深く読解しないと解けない問題が出題される可能性もあります。聞き取り検査(リスニング)については、これまでの選択肢ごとに「正」か「誤」を選ぶ形がそのままマークシート形式になりました。一見すると、大きな変化には感じませんが、これまでは「正」か「誤」に〇をすれば良かったものが、マーク欄を塗りつぶさなくてはいけなくなりました。綺麗に塗りつぶそうとするあまり1つの問題に時間をかけ過ぎてマーク欄を塗っている間に次の問題の音声が始まってしまったり、集中して音声が聞けなかったりと、本番で焦ることがないようにしっかり練習をして本番に臨みましょう。

対策について考えよう!

細かくみていくと多くの変更点がある愛知県公立高校の新しい入試制度ですが、最後に対策について考えていきましょう!

マークシート形式になるから過去問はやらなくていい?

「マークシート形式になるから過去問はやらなくていい」は大きな間違いです。マークシート形式になっても、“出題内容”としての傾向は大きく変化しないことが予想されます。問われる教科ごとの知識は変わらないので過去問を使ってしっかり演習をしていきましょう。

過去問を使った演習では、解いたら解きっぱなしにするのではなく、間違えた問題は解説を読んでしっかりと理解しましょう。これまでの記述式の問題を解くことができたら、それは、その問題の出題内容をよく理解できているということになります。過去問に取り組むことによって自分の到達度を把握し、不足している知識があれば補っていきましょう。
これまではAグループ・Bグループの問題があったので、両方取り組むことで演習量が2倍になり、より効果的に力をつけることができます。

過去問の後は予想問題にチャレンジ!

過去問を使った演習の後は、予想問題集に挑戦してみましょう。

予想問題に取り組む際は、可能な限り入試本番に近い環境で取り組みましょう。
実際の学力検査の時間割に沿って行うのも効果的です。

※〔参考〕2022年度入試の時間割

朝から国語の長文を読んだときにスッと文章が頭に入ってくるか、昼食を食べたあと集中して理科の複数の資料を読み解いて計算もしながら解き進めることはできるか、など本番前に1度は試しておいた方が良いですね。

解答用紙はダウンロードもできるようになっています。先に挙げた「複数選択式の問題」の答え方、「数値を答える形式の問題」の分数の答え方、聞き取り検査(リスニング)の時間配分など、何度も演習してマークシート形式に慣れていきましょう。

また、作問時に設定した“架空受検者”の得点データを使って参考偏差値を算出する「参考偏差値算出ツール」に対応しています。実際の偏差値とは異なりますが、参考資料として活用してみましょう。
参考偏差値算出ツール

最後に

過去問や予想問題を使った学習の目的は「満点を取ること」ではありません。「志望校に合格すること」が目的です。志望校に合格するために、過去問を使い自分の到達度や不足している知識を把握したり、出題内容の傾向をつかみ学習計画を立てたり、どの問題が解けなければいけないのかを把握していきましょう。そして、予想問題に取り組み入試本番に近い環境に慣れておくことで、「志望校合格」をつかみ取りましょう。

商品概要

Z23愛知県公立高校入試過去問題集2024年度版
発売日:2023年6月29日
価格: 1,320円(本体1,200円+税10%)
販売方法:全国の書店・通販サイト・東京学参株式会社公式HP

愛知県公立高校入試予想問題集2024年度版
発売日:2023年10月23日
価格: 1,650円(本体1,500円+税10%)
販売方法:全国の書店・通販サイト・東京学参株式会社公式HP

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